一時期エコカー補助金などでプリウスなどが馬鹿売れしたことは記憶に新しいと思います(2013年あたりのコラムです)。私が思うに環境ブームに上手く乗って環境を商品化することに成功した一番の例でしょう。
しかし、本当にエコカーなどはエコなのでしょうか。
プリウスなどのハイブリットカーにはエンジンのほかに大きな燃料電池とモーターを積んでいます。従来の車であればエンジンだけの製造だったのが、ハイブリット化によってそれ以外の部品を作る必要が出てきました。
様々な方が言っていますが特に「燃料電池の材料の発掘→輸送→精製→輸送」といったサイクルにより従来の車よりも多大な温室効果ガスを排出してしまうことになります。
特に発掘、船での輸送、トラックでの輸送の際にはエコカーとはいえない重機達が沢山の温室効果ガスを排出しながら作業していることでしょう。精製にはハイレベルな加工技術が必要なため電力や沢山の火力を使っているわけです。
すなわち製造段階における従来の車の温室効果ガス排出量を0と仮定するとハイブリットカーは間違いなく大きなプラスからスタートすることになります。このことはCMやディーラーではなかなか話されませんが、幕張のトヨタ博物館のようなところでは3年3万キロを目安に、その点を越えた辺りから環境にやさしいとちゃんと書いてありました。
一方、最近の低燃費型の車はどうでしょうか。大きい車は未だ低燃費化は難しいようですが、コンパクトカーでの技術は非常に進歩しています。リッター20ぐらい走るにもかかわらず生産段階での温室効果ガス排出量は従来のものとさほど変わらない。しかも車両価格自体も安く抑えられています。
双方とも技術によって燃費を改善し、自動車走行時の温室効果ガス排出量を減らしたことは同じですが手順が違うようですね。ハイブリットカーはエンジンとモーターを組み合わせる従来にない全く新しい技術を開発。一方コンパクトカーなどの燃費改善はエンジンストップなどの新しい技術はあるものの従来型エンジンの効率化等を図ったものではないでしょうか。
考えてみてください。エンジンを改良して低燃費化した場合は製造時の温室効果ガスは従来とさほど変わらないでしょう。しかし、エンジンに加えて燃料電池とモーターを載せるハイブリットカーは、その分だけ余分な製品を作る=温室効果ガスが増えるということになりかねませんか?
人によってはハイブリットのエンジンは温室効果ガスが少なく生産できる技術が使われているというかも知れませんが、その様な技術は従来型のエンジンにも利用できますよね。その結果、従来型のエンジンよりも低い温室効果ガスでハイブリットカーを作るのは現時点で困難であると思われます。
上記のことから私は間違いなく燃費のいいコンパクトカーのほうが地球に優しいと考えています。圧倒的に発売時の温室効果ガス排出量が従来型エンジンのほうが少ないでしょうからね。後はエンジンを作らなくていい電気自動車でしょうか。しかしながら電気自動車については知識がないので述べないようにします(発電時のCO2等は無視されています)。
エコカーは燃費と走行時の温室効果ガス排出量においてはとても優秀ですが、製造時に関しては従来車に劣ります。CMにおいて低燃費と温室効果ガス排出量が少ないことをアピールすることにおいては何の嘘もないですが、地球に優しいというのは少し上記のとこから問題があると思っています。
また、ハイブリットカーにおいて減税や補助金を出すのであれば、3年3万キロは必ず乗ることを契約とし、それを守ることが出来なかった場合においては返金するといったシステムが必要だったと考えています(実際一部返金制度がありました)。
これから暫くはハイブリットが自動車業界を牽引するでしょう。なぜなら電気自動車は走行距離と充電に問題があること、従来車にはエコをアピールする要素、目新しさが少ないからです。
今のハイブリットや電気自動車は新しい技術。従来の基準で考えるのはナンセンスだと私は思います。次の新たな判断基準を新設すべきではないでしょうか。
燃費や走行時の温室効果ガス排出量のほかに製造段階においての温室効果ガス排出量(発掘から精製、運搬まで)を表示するべきだと考えています。そのことによってどの車が本当に地球に優しく、本当のエコであるかわかるだけでなく、何年乗って何万キロ乗らなければ地球にとってメリットにならないかといった判断を下すことが出来ます。
そうすれば、減税のシステムにおいても車によって何年何万キロ以上乗った場合という条件定義が可能になるので満たさない場合は返金というシステムや、満たした場合に補助金が出るというようなシステムを組むことが出来るのではないでしょうか。
今のシステムではエコではない車をエコに見せて売っているだけにしかなりません。本当のことを見せてくれるメーカーが出てくることを私は願っています。
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