トラックのホイール脱落事故の原因と対策

トラックのホイール脱落事故の原因と対策

近年、トラックからのホイール脱落事故が相次いでいます。一説によると昔の10倍にもなっていると言われていますが、トラックの増加意外にも原因があるはず。トラックのホイールは非常に重く、さらに勢いよく転がってく為、人や対向車に当たると死亡事故につながる場合もあります。なぜ、近年それが増えているのか、またどういった対策が必要になるのか今一度考えてみましょう。

原因はJIS規格と新ISO規格?

実は、今まで大型トラックのホイール規格はJIS規格という日本独自の物を使用していましたが、十数年前から世界基準の新ISO規格へと変更になりました。恐らく日本独自規格であるJIS規格を使用すると、トラックを世界展開させる場合のコスト増、足枷となるので共通化しようという流れがあったのだと思いますが、ここにホイール脱落事故の原因を求める意見も数多くあります。

今までのJIS規格は、トラックの右側(運転席側)は正ネジ(右に回すと締まる)、左側は逆ネジを使用していました。これは正ネジだとホイールの回転の力によって、左側のナットが緩む方向に回りやすいという事から採用されていたようです。実は現在の自転車も同じ作りになっています。

一方で新ISO規格では左右どちらも正ネジになっており、左側が外れやすいのではと言われているのです。

脱落の95%が左側後輪

というのも、ホイール脱落事故の95%が左側後輪で起きており、これが新ISO規格が原因ではないか?という一因にもなっています。

ただ、左側後輪の脱落に関してはJIS規格でも多く発生していました。皆さんご存知の通り日本は左側通行になっており、左カーブの時は左側のホイールの回転半径が非常に小さく、一方で右カーブの時は回転半径が大きく、さらにスピードも速くなっており負担がかかりやすい部分になっているのです。そのため、新ISO規格が原因であるかどうかは判断できないとされています。

しかし、この理論でいくと海外では右後輪の脱落事故が多くなるはずですが、それに関しての記事は見つけることができませんでした。狭い道路をクネクネと走らされる日本特有の問題なのか、それとも常に締まる方向になる右側は脱落しにくいのかここから判断することはできません。

また、緩む方向と言っても回転軸の中心からナットがずれたところにあるので、実際はそれほど影響を受けないともいわれています。回転軸の中心についているような自転車やレースカーに関してはかなり重要な問題となるので、確かに・・・と頷けるポイントになります。

原因は人的ミス?

規格以外の原因と言えば人的ミスがあげられます。ホイール脱落事故が起きる時期がスタッドレスとサマータイヤを交換する時期と重なることからも分かる通り、脱着の際の締め忘れ、増し締め等の管理不足が大きな要因の一つであることは間違いありません。

最近では過度なコスト意識が求められ、作業時間の短縮、効率化、作業人員の不足なども多く、単純に作業員のミスではなく、会社体質や業界全体での問題でもあると思います。

また、新ISO規格に変更されてからそれほど年月が経っておらず、現場で新ISO規格とJIS規格が混在しているのも原因の一つかもしれません。

ホイール脱落事故を防ぐ簡単な方法

ホイール脱落事故を防ぐにはどうすればいいのでしょうか?今からもう一度JIS規格に戻しましょうか?それは現場の混乱を大きくさせるだけです。

ホイール脱落事故はボルトの破断などで突然発生することは少なく、徐々にナットが緩むことで発生します。それならばナットの緩みをあらかじめ発見することができれば解決するのではないでしょうか。

最近のトラックのホイールに、雨粒のようなパーツがついているのを見たことはありませんか?私が初めて見たときは変なドレスアップが流行っているなと感じましたが、これが安全運航を守る大切なパーツの一つでした。

それはホイールナットインジケーター(チェックリンク)というもので、きれいに並べてナットに装着することで、ナットが緩んだ際にその並びが乱れるのですぐに発見できるというものです。

また、こういう方法を使わなくてもボルトとナットをマーカーでチェックするだけでも可能になります。さらに、定期的な増し締めを作業に加えれば、かなりの量のホイール脱落事故を防げるのではないでしょうか。

確かに規格の違いによって事故が増えているのかもしれませんが、現時点で規格の変更をするのはそう簡単な事ではありません。ならば、今できる事、今までしてきたことで対応するしかありません。結局、最後に確認しているのは人間ですので、しっかりと安全意識をもって安全運行をしていただければと思います。それではこの辺で(^^)/~~~

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